■P/L(損益計算書)の予想
P/L(損益計算書)の予想は、売上高が決定したら、売上粗利益率の動き(改善か悪化)の方向性と程度の予想、販売費&一般管理費の大きな項目の予想(特に人件費、広告・宣伝費、減価償却費)などを経て、営業利益、金融収支の予想を経て、経常利益の予想まで行っていきます。
■顧客が重視するアナリスト・ポイント
アメリカでは「インスティテューショナル・インベスター」がセクター・アナリストの評価ポイントを明らかにしているし、アンケート結果も公表されている。
最近の評価ポイントは、
A投資判断の正確性(タイミング良く、投資情報の発信をできたか)
B利益予想の正確性
C論理的思考プロセス
D優れた企画力(斬新な投資アイデアの提供)
などであるが、機関投資家の重要度の順から言えば、D、A、C、Bの順序ではないでしょうか。
■アナリストレポート
これからの「企業分析」=「証券分析」には、「経営者評価」「経営戦略評価」などの経営トップの経営手腕や見識、論理的な物の考え方、ディスクロージャーやIR活動に対する正しい認識などが評価対象に入ってくるのが望ましでしょう。
■次期業績予想
アナリストが現在、年に何回、担当企業の業績予想をするかは、すでに、アナリストに任されてしまったかの感があるが、昔は、今の「会社四季報」や「会社情報」と同様に、アナリスト全体の共同作業として最低年4回の改訂作業がありました。
新人アナリストでも、ベテラン・アナリストでも、最も実務上困難なのは、次期予想、次々期の業績予想を正確に行うことでしょう。
■特別利益・特別損失の予想
特別利益、特別損失の予想は、決算対策とも関連するので期初には困難だが、会社が沈黙期間に入る直前近くになれば、会社側からある程度の感触は聞けることもあります。
あとは、税率、有税処理の有無などを聞いて、税引利益の予想(一株当り利益の予想)がやっと可能になってきます。
■売上高予想
証券アナリストが予想しなくてはならない各項目の中で、「売上高」こそ、最も基本でありながら、最も困難な部類に属する項目である。
特に、事業部門が多岐にわたり、連結決算の売上高予想ともなれば、難易度は極度に高くなります。
マクロの経済環境予測、当該業界の景気観測、業界の競争状態、販売促進活動の成果、必ずしも市況産業ではなくとも売値や販売数量動向、などあらゆる要素を織り込んで売上高を予想しなくてはならないのです。