証券アナリストをめざしてみよう

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証券アナリストの評価と報酬

■証券アナリストの宿命

証券アナリストになれば、当然ながら担当業界と常にフォローする担当会社が決められます。

過去においては、一人のアナリスト(証券調査マン)が40~50社も担当していた時代もありましたが、現在は、もっと「専門的に」「深く詳しく」を重視し、担当会社の数を絞り込み、ディープなレポート(In-Depth Research)を執筆できる環境づくりに取り組む傾向が強まっています。

ディープな分厚いレポートを執筆するとなれば、アナリストの仕事時間は長くなり、外部から見れば生産性の低い職種と映る場合もありますが、投資家に損害を与えないことに留意し、正確で、客観的なレポートを数多く出さなければなりません。

■証券アナリストの評価

証券アナリストの評価は抽象的なものに依拠するのではなく、具体的な成果を測る尺度として、とくに欧米では顕著ですが、

・執筆したレポートに起因する株式コミッション
・IPO(新規公開)の引受け業務に貢献した度合い
・M&A(合併と買収)などを成功裏にビジネスに結びつけた努力

などが使われるようになってきています。

ただし、わが国では、既述のような欧米型の評価システムを構築している証券会社や研究調査機関は少なく、まだまだ昔流の抽象的な評価にとどまっており、強く改革・改善が求められています。

■証券アナリスト活動の成果

証券アナリストの活動の成果は、レポートの量(本数)、プレゼンテーション能力の巧みさ(説得力)、上司にあたる先輩アナリストや収益部門とのリレーションの巧さなどであり、評価も「どちらかといえば、抽象的で曖昧なもの」であったのですが、最近はアナリストの成果は、量と質(質のウエイトの増大)、投資アイデアの斬新さ(ユニークさ)、外部の機関投資家からのリピート・オーダー(外交依頼頻度や件数)などを重視しています。

■外資系アナリストも様々

外資系アナリストも様々であり、外資系証券会社で活躍する立派なアナリストも増えているが、一方で一部の外資系アナリストの良からぬ新聞報道に接する機会も少なくありません。

若い頃に調査・研究機関でしっかりとした社内教育や先輩諸氏から薫陶を受けたアナリストは別格ですが、そうでないアナリストは職業倫理に劣る言動を見聞きすることもあるのが残念なところです。

■外資系でのアナリストの活動実態

外資系でのアナリストの活動実態は、高い報酬を得ているほど過酷であり、時差、言語、企業文化、ビジネス慣習の違いなどを超えて、本国から派遣されている上司や本社、さらには青い目の顧客を満足させなければならず、まさに「仕事が趣味」でなければ勤まらないのが実態ではないでしょうか。

■外資系証券会社への転職理由

外資系証券会社への転職理由を挙げてみますと、

・年収の大幅アップ(いわゆるジョブ・セキュリティーの悪さは覚悟の上)。
・年功序列の日本の人事制度への不平不満。
・年功序列で、アナリストから「管理職」になるのが嫌いである。
・グループの証券会社(実態は親会社)からの圧力や人事面の格差に不満。
・現状の職場では、アシスタントとしか思えない担当業界に甘んじなくてはならず、外資で「ランキング・アナリスト」を目指したい。
・日本企業なら60歳まで勤めて貰える生涯所得を10年短縮し、早く引退して悠々自適の生活に入りたい。
・どこの職場でもあることだが、上司との折り合いの悪さ。
・日本人としての職業規範に従えず、外資系ならというタイプ、

などが挙げられます。

■証券アナリストの実像

最近、外資系の証券会社が高給でアナリストを引き抜き、厚遇するためか、かつての証券調査部時代とは隔絶の感のある「華やかなイメージ」がアナリストという職業にはあるようです。

幾つかの大学でも「アナリスト養成講座」が新設されているようですが、証券分析のテクニックや手法の講義だけに終わらず、現実のアナリストという職業の過酷さ、そして喜びをバランスよく講義できる教授陣が必要不可欠なのではないでしょうか。

■新聞報道の例

全国紙(日経朝刊:平成13年6月7日付け)に外資系のINGベアリング証券・東京支店から大和銀行に対し、異例の「お詫び広告」が掲載された。

これは、同社の銀行アナリストであるJ・F氏が、

・予想をはるかに下回る自己資本比率
・推定適正株価が50円
・売り推奨
・預金者の不安感増大

などをレポートに誤って記載しただけでなく、大和銀行のIR担当者の訪問と事情伺いに対して「終始無言」、翌日、銀行側が抗議文を出したときには「長期休暇」に入るという行動に出たことが発端となっている、と新聞紙上では報道されています。

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