■ベンチャー市場の創設
ベンチャー企業向けの新市場の開設には東京、大阪、名古屋、札幌の各取引所が参入し、有望企業を取り込もうとしています。
新市場開設ラッシュの直接の契機は、ひとつには1998年12月に取引所外取引が解禁され(取引所集中義務の撤廃)証券取引所をとおさなくても証券会社の仲介などによる売買が可能になったこと、もうひとつは、99年6月、ナスダック・ジャパンの設立が公表されたことです。
■新市場創設の結果
新市場創設により、成長途上の企業であっても、これまでより短時間で市場から資金を調達できるようになりました。
投資家にとっては、高いリスクを承知で冒険に出ることもできるようになったわけです。
ただし、ディスクロージャー(企業情報の開示)が徹底しているということは、開示された情報をどう判断するかは投資家自身に委ねられる、つまり自己責任が求められるということでもあります。
■オンライン取引の拡大
オンライン取引がインターネットの発達によって普及したことも、近年の画期的な出来事です。
99年10月、株式売買委託手数料の完全自由化により、オンライン取引の手数料を大幅に値下げする会社、オンライン取引に特化する会社、異業種から参入する会社などが現れ、料金やサービスも多様化しています。
■証券アナリストの役割
証券アナリストの役割は金融ビッグバンの改革によりいっそう重要になってきました。
企業はこれまでより資金を集めやすくなり、投資家は自分の資産の運用先を幅広い選択肢の中から選ぶことができるようになり今後は、確定選挙年金の導入によってはじめてリスクを伴う運用を経験する人も増えるでしょう。
■正しい投資情報を伝える
正しい情報とは投資判断のカギとなる“情報”を収集、分析し、投資の意思決定という視点から評価することでそれらを投資家に伝達するという非常に大切な役割が課せられているのです。
■証券アナリストの職業行為基準
日本証券アナリスト協会では、1987(昭和62)年に証券アナリストの倫理的行動規範として「職業行為基準」を制定し、会員に自主的な遵守を求めています。
■職業行為基準の内容
1.総則
①会員(原則として個人会員をさす)は誠実に職務を励行し、証券アナリストの社会的信用および地位の向上に努める。
②職務にふさわしい専門能力を維持・向上させること。
③証券分析業務にあたっては、専門的見地から適切な注意を払い、公正で客観的な判断を下すこと。
④関係法令、協会の定款、規則、職業行為基準を遵守すること。
2.投資情報の提供、投資推奨および投資管理
①顧客または特定のポートフォリオのため、投資情報の提供、投資推奨、投資管理を行う場合は次の事項を守らなければならない。
・線密な調査・分析にもとづく合理的かつ十分な根拠を持つ。
・事実と意見とを明確に区別する。
・重要な事実についてすべて正確に表示する。
・投資成果を保証するような表現を用いない。
・投資目的に最も適合する投資が行われるよう配慮する
②投資情報の作成に当たり、他人の資料を利用する場合には、出所、著者名を明示するなど慎重かつ十分な配慮をする。
3.その他
①すべての顧客を公平に取り扱うこと。
②自己の証券保有、個人的取引によって、公正で客観的な証券分析事務の遂行を阻害しないように注意する。
③証券の発行者との関係において、独立性と客観性を保持するよう注意し、公正な判断を下すこと。
④証券の発行者との関係にもとづき重要な未公開情報を入手した場合は、発行者に対する信任義務、法令、関係諸規則に違反して証券分析業務に利用したり、他のものに伝えたりしてはならない。
⑤証券の発行者との関係にもとづき重要な未公開情報入手した場合、その情報が当該関係にある者の信任義務、法令、関係諸規則に違反して自己に伝えられたことを知った時は、これを証券分析業務に利用したり、他のものに伝えてはならない。
⑥顧客に関して知りえた秘密を保守する。
⑦検定会員等の会員称号を使用する場合には、称号の権威と信頼性を保持するよう良識ある方法を用いる。