■証券アナリストとしての高い評価
証券アナリストとしての高い評価を得るためには、定期的に「トップ・インタビュー」ができて、レポートにその内容を盛り込めるようになったら、本当に「アナリスト」として一人前になったと言えるのではないでしょうか。
経営者の名前も出てこないし、実際に会った気配も感じられないレポートは、機関投資家の高い評価対象になり得ないでしょう。
■証券アナリストの書くレポート
証券アナリストの書くレポートには、「経営者評価」あるいは、「経営戦略評価」が欠けているのが、昔からの悪しき伝統である。
特にこれからの「企業分析」=「証券分析」には、経営トップの経営手腕や見識、論理的な物の考え方、ディスクロージャーやIR活動に対する正しい認識などが評価対象に入ってくるのが望ましいと考えられるでしょう。
■証券アナリストの各種の誘惑
証券アナリストの各種の誘惑とはどんなものがあるのか、挙げてみましょう。
・公開による創業者利得を狙って、多くの誘惑者がお金目当てに近づいてくる。
・有能な経営者を「インタビュー」や「ベンチャー経営者シンポジウム」で本業から遠ざけてしまう責任は大きい。経営者も人の子で「有名病」を患ってしまう。
・真面目な経営者によくあることだが、無我夢中で働きすぎて健康を害するというリスクもあります。
・中堅・中小企業にも政治家のパーティーや後援会のお誘いは数知れず届きます。
本業が順調ならばいざ知らず、経営が危機的状況であるにもかかわらず、そうした会合の誘いに乗ってしまう経営者は以外に多いのです。
俗に言う「偉い人」に会えることが、本業に優る喜びになってしまっている状態。
・未上場企業時代は、有能な人材を集めて、衆目の意見に耳を傾けた経営者も、成功するにつれて、「ワンマン経営」に陥ると、有能な人から会社を辞め、周りには「イエスマン」しか残っていないという悲劇がよく起こる。
■経営者評価は自分自身の目と耳で
経営者評価は、自分自身の目と耳で感じた評価することを常に心がけなければならない。
世に「名経営者」と称賛される人達は多くおられますが、とかく「マスメディア」が作り上げた虚像である場合も少なくありません。
アナリストは、そうした世の中の風潮やコンセンサスに影響されないことが重要になってきます。
■経営手腕を見抜く眼力を涵養
経営手腕を見抜く眼力を涵養するには、新興・ベンチャー企業の経営者は、相対的に若く、エネルギッシュで、即決力や行動力にも富んでいるケースが多いです。
しかし、拙速でワンマンで、イエスマンに囲まれていて良きアドバイザーを欠いているケースもあり、経営リスク・事業リスクを含めた多面的な経営者評価が大事になってきます。
一度や二度の短いインタビューで経営者や経営陣を評価するのは困難であっても、何回か会う機会が増えれば、客観的な評価もできるようになり、アナリスト自身の「人を見る眼」が鋭敏になってくるのではないでしょうか。
■未公開企業が行う会社説明会
未公開企業が行う公開前の会社説明会で、会社の沿革、事業概況、最近の業績、将来の展望や戦略などを詳細に説明されることは多いです。
しかし、経営者自身の生い立ちや起業に至った経緯、現在の経営理念などを殆ど語ろうとしない経営者もいて、失望するかもしれません。
主幹事証券会社がそのように指導している場合もあるかもしれませんが。。。
■誘惑に負けない経営者
誘惑に負けない強い意志と経営理念を持った経営者を待望し、そのような人物と会える機会を持てるのが「アナリスト」の仕事冥利に尽きるというものではないでしょうか。